ココロとカラダ

ひとりの時は、できるのに…。〜レッスン編〜

「一人で練習してる時は、できるんですけどね…レッスンになると…。」

音楽大学でクラリネットを学ぶ生徒さん。コンサートや試験などの本番よりも、とにかく大学での個人レッスンで極度に緊張してしまうのだそうです。

レッスンというものは、確かにちょっと特別な時間ではありますね。
個人レッスンとなると、なおさらです。

このレッスンでのちょっとしたアドバイスが、個人レッスンの時間を有意義に過ごすことに繋がったようですので、こちらでシェアしたいと思います。

 

先生の前で演奏する時に起こること。

「大学に入って、ずっと憧れていた先生につけることになって、ホントに私はラッキーだなって思うんです。でもとにかく緊張してしまって、最近のレッスンではいつもボロボロになってしまうんです。。」

この日はグループレッスンで、ちょうどその先生と年恰好が同じくらいの方がいらっしゃたので、「先生役」をお願いすることにしました。

先生役の方に譜面台のそばに立っていただき、レッスン室に入るところからスタートして、今取り組んでいるというエチュードを演奏していただきます。

「・・・よろしくお願いします。」

とても高い技術を持っている方ですが、確かにいつものような演奏ではなく、全体に動きが少なくなっています。それもあってか、音楽の流れもいつもより少し単調になっています。「ソツがない」といった印象でしょうか。(決して「ボロボロ」ではありません。。)

「もう。。ダメです。吹いてるだけになってしまって。」

「はい、お疲れ様でした。。ところでレッスン室に入るときって、どうやってました?」

「え?部屋に入る時ですか…?」

 

憧れていた素晴らしい先生に、直接学べる。学ぶ人にとって、それは何よりも代えがたい経験です。
しかし、あまりにその思いが強くなると、自分を不必要にまで小さく見積もってしまうことに…。

先生から様々な学びを受け止め、より自分のものとするために、どんなことができるか。

意外なところに、ヒントはあるものです。

 

目的のすり替わり。

「そう言われてみると…レッスン室の前にいるときから呼吸が浅くなってたと思います。首の周りが窮屈だったかもしれません。」

「そうかもしれませんね。緊張するのは良しとして、身体は自由に動けるようにしておきたいですよね。試しに、もう一度部屋に入るところからしてみます?」

アレクサンダー・テクニークの基本「頭が動けて身体全体がついてくるように」して、呼吸の動きをおさらいし、レッスン室に入るところからもう一度やっていただきました。

「よろしくお願いします(^ ^)」

・・・・

「…2回目っていうのもあるのかもしれないですけど、すごく吹きやすかったです。今、吹きながら気づいたんですけど…いつもレッスン室に行きながら『今日は”いいね!”って言ってもらえるかな』って考えてたかもしれません。前にすごく調子がいい時があって、その頃はよくそう言っていただけたんですけど…。」

「目的がすり替わってる?」

「そう!そうだったかもしれないです!あんまり嬉しかったので。」

 

本来の目的(レッスンでは「望み」と呼んでいます)が、何か違うものにすり替わることはよくあることで、そうなると途端に身体の使い方にも変化が起こります。目的が変わるのですから、当然と言えば当然ですね。

褒められることは、もちろんいくつになっても嬉しいものですが、それが「目的」になってしまうとちょっと色々なものが噛み合わなくなるものです。

 

自分の姿と出会うこと。

その後、その生徒さんからメールをいただきました。

「(前略) レッスン室に入る前からの自分の傾向と対策が分かって良かったです。今日ちょうどレッスンがあって、やっぱり余計なこと考えて息が浅くなることに気付けました。”褒められたい欲”ってすごいですね(笑)。どこかで『褒められない自分はダメになる』みたいに思ってたかもしれないです。でもそれで考え直せて、今日のレッスンの課題も達成できたし、ずっと質問したかったことも聞けたんで超満足です。 ありがとうございました!」

メールを読んで、「…この素直さと自己観察力が、自分の学生時代にもあれば…」と、つい思ってしまいました(笑)。

「レッスンの受け方」なんてなかなか教わる機会もないですが、私自身が彼女とのレッスンを通して、自分が置き忘れてきたものに再び出会い、また新しく学び直すことができるように思いました。

音楽も、アレクサンダーも、何かを学び続けるというのは、自分の姿と出会い続けることなのかもしれないなぁと思った出来事でした。

 

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