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「こんな動きをしていたんですね…これまで全く気付いてなかったです。これがタンギングに影響してたのか・・・」    

サクソフォン奏者の生徒さん。奏者としても、教師としても、長いキャリアをお持ちです。

演奏者は長い時間をかけ、あらゆる方向からあらゆる方法で自らの奏法を確立していきます。

私自身もそうでしたが、キャリアを積んでいく中で身につけてきたそれらと”一度改めて向き合う時間”が、誰にでも何度か訪れるものだと思います。

今回はそんなレッスンから。

 

長年の悩み。

「速く連続するタンギングが苦手で、長年の悩み。これまで騙し騙しやってきたんだけど…。」とのことでしたが、楽器を構えアンブシュアを完成させる過程で気になる動きがありました。

楽器を口へ運ぶ際に、肩を後ろに引き左右の肩甲骨どうしが引き寄せられる動きと、肘を後ろへ引くが見られます。

これは呼吸への影響と同時に、舌の動きにも影響を与えるものと思われます。

またアンブシュアを完成させる過程で、アゴを引いてマウスピースに上の歯を当てると同時に喉頭(のど)のあたりを後ろに引っ張る動きが見られます。

これも呼吸と舌、またアンブシュアの動きに影響を与えるものと推測されます。

しかし、私が観察したこれらは、その時点ではただ「そう見える」ものであり、それらが与える影響については仮説に過ぎません

起きていることを直接お伝えする前に、これらの動きが結果的に起きないプロセスで楽器を構えていただき、演奏していただきました。

(具体的には「肩は真横より少し前向きにあり続けながら、肘を曲げることで楽器を口元へ運ぶこと、またマウスピースに上の歯を当てるときは、下アゴだけを過度に手前に引くことは構造上難しいので頭を耳の高さあたりから前に傾ける(下図参照)ことなど。)

 

自分の全てで、全てから学んでいる。

「不思議。楽器を吹いている感じがしないというか、舌が軽く動きますね。最初は”これじゃ音が出せない!!”と思ったんですけど・・・。何がどうなったんですか? 私、どうやってたっけ?」

“いつもは何をやっていたのか”を知りたくなる気持ちを少し脇へ置いていただき、まずはもう一度動きのプロセスを一緒に丁寧に辿っていきます。

概ね理解していただいたところで、最初に起きていたこと(いつもの動き)についてお伝えしました。

「うーん。”アゴを引く”動きを誤解してたというか、上の歯よりも下の歯がとにかく手前にくるようにと、かなり気を付けてアンブシュアを作っていたことは自覚があります。でも、肩を後ろに引く動きは…全く自覚がないな…。何でやってるんでしょうね。」

「さあ…日本人の”きをつけ文化”から来てるという話もありますけど、分かんないですね。動きには全部理由があるし、その人の生まれ育ちというか、歴史が反映されますからね。。。例えば、憧れてるプレーヤーの動きを知らないうちに真似してたりとか、あるじゃないですか。」

「それかも…すごい好きな奏者の真似、してたかもしれない!」

親子の歩き方や食べ方が似るのは、DNAによるものかもしれませんが、動きを見ることや音を聞くことなどでそれらを”真似る”という能力が人間にはあるためとも言われています。  それは素晴らしい”能力”であり、私たちは見ることや聞くこと、あるいはそれ以外のこと、自分自身の全てを使って自然に学んでいるんですね。

…そんなお話をしました。

 

楽器と、もう一度出会う。

ここで改めて、楽器を吹くことに必要な動き、出したい音のために必要な動きを細かく分析していきます。

…そうすることで、どんどんタンギングが軽やかに持続するようになりました。(さすが。。)

「楽しい。これって、可能性を自分で探していけるんですね。…これまで、生徒さんにも自分にも”こうならないように”とか”こうなっちゃダメ”とか、“禁止”ばかりを言っていたような気がする。」

禁止も、裏を返せば”それ以外はOK”とする指示であり、可能性を広げるものとも考えられます。
初心者や子供に対して教える場合は、特にそういった指示をしがちではあります。
…でもどうしても「〜してはならない」という禁止の指示は根強く記憶に残り、その後の動きに長く反映されるものでもあります。

どこかのタイミングで「禁止」を超えていくこと。

学びの途上で、自分の奥深くにかけていた「禁止」に気づき、それらを紐解き、本当に必要な動きは何かを見極める時間を持つことが、長く何かを学び続ける上で必要なことかもしれません。

 

 

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