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一部の管楽器奏者を悩ませる「鼻抜け」についての続編です。

このブログの過去記事「鼻抜けを考える」をお読みになった方から、「鼻抜けが改善した」または「おこらなくなった」というお声を多くいただいています。

実際にこの症状で悩まれてレッスンにお越しになり、快方に向かう方も多くなりました。

今回は、レッスンの中で生徒さんにお伝えしたり、試していただいたことの中で効果があったものについてご紹介したいと思います。

これまでお会いした、鼻抜けにお悩みの方の中で最も多くみられるパターンとして、楽器を吹く際に

「喉を大きく開ける」「口の中を広く保つ」「舌を下げる」

という動きを恒常的に、そして過度にやりすぎていることが挙げられます。

症状が軽い方なら、これらについて「ただやめてしまう」ことで改善してしまうこともあります。

 

「ただやめる」ことの難しさ。その代替プラン。

しかし長期間鍛錬を積み重ね、ご自分の奏法を確立してきた方々にとって、それらを「ただやめる」ということはなかなか難しいことでもあります。

「喉を大きく開ける」「口の中を広く保つ」「舌を下げる」…それらを「やめよう」と思うことは、同時にそこに意識が向くということになります。
そして訓練を積んだ方ほど、意識がそこへ向くと同時に訓練した動きが起こるものです。

「やめよう」と思うほど、やめることが難しい。。

そんなループに入ってしまう方も多いと思います。

そこでご紹介したいのが、これらを直接「やめること」とは別のことによる「代替プラン」です。

プラン① 片脚で立って、少しバランスを崩しながら吹いてみる。
くれぐれも周辺に危険なものがないか確認して、無理のないように行なってください。
ロングトーンや簡単なフレーズがオススメです。

プラン② 片脚で立ち、地面についているほうの脚を軽く曲げ伸ばししながら吹いてみる。
①に慣れてきたら行なってみてください。こちらも無理は禁物。(筋トレをしたいわけではありませんので。。)
こちらもロングトーンや簡単なフレーズでおためしください。

プラン③ ①、②を繰り返すとともに、時々歩きながら吹いてみる。
①と②を脚を替えながら繰り返しつつ、時々好きなように歩きながら吹いてみてください。

…このエクササイズにより、どのような感覚が得られたかは人それぞれかと思います。

しかし、このように演奏中に積極的に脚を使うことで、アンブシュアや口の中、のどや鼻の奥あたりに何らかの変化があったのではないでしょうか。

脚を動かす筋肉と、腹部にある呼吸をつかさどる筋肉には密接な関係があります。
このように脚を使ってみることで、呼吸筋も同時に働きやすくなり、「音を出す」という仕事においてより腹部がそれを担当してくれることで、アンブシュアや口の中、のどで行われる仕事や負担が減り、自由度が増したと考えます。


↑横隔膜。呼吸を司る筋肉の一つです。脊椎にもついてますね。


↑大腰筋。脚と胴体を繋げる筋肉です。


↑大腰筋と横隔膜。とっても密接です。


↑これは骨盤底筋群。あまり感覚がありませんが、息を吐くために働く筋肉です。脚の付け根の近くにありますね。

 

「やってはいけない」のか…?

「喉を大きく開ける」「口の中を広く保つ」「舌を下げる」…。

…しかし、これらのフレーズは、管楽器を演奏している方なら誰でも一度は聞いたことがある、あるいは心がけたことのあるフレーズではないでしょうか。

ここで注意したいのは、決してこれらを「やってはいけないこと」「言ってはいけないこと」としたいのではないということです。

これらのことは、管楽器を学んで行く過程の中で考え、実践する必要があることだと考えます。

「喉を大きく開けることもできる」
「口の中を広くすることもできる」
「舌を自在に動かし、下げることもできる」

少し言い換えてみましたが、このように「自由自在なコントロールが可能になること」は、管楽器を思い通りに吹けるようになるためにはむしろ望ましく必要不可欠なことです。

同時に、管楽器を演奏することには、このようにもっと広い範囲で、体の全体を関連させて考えることもまた、とても大切なことだと考えています。

 

お悩みのみなさま、またこのようなことにお悩みの生徒さんを持つ先生方、どうぞお試しくださいませ。

 

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