ココロとカラダ

「できるとき」と「できないとき」の謎。

「このレッスンに来ると、なぜか上手くできちゃうんですよね……。でも他のところだとできなくなってしまって(笑)」  

レッスンでよく聞く言葉です。

一度でも”できた”なら、間違いなくそれはその人自身の実力によるもの。

しかしそれは時として「できたり、できなかったりするもの」として私たちを翻弄します。

「できるとき」と「できないとき」
果たして何がその鍵を握っているのか。

今回はそんなことについて。



安心安全な場

やりたいことや達成したいことが明確で、かつそれに至るまでに必要な動きのプロセスもほぼ明確になっているにもかかわらず、なぜか上手くできたり、できなかったりする。

このような場合、上手く「できる」ことの条件のひとつに、その場がその人にとって“安心安全であること”が挙げられるのではないかと考えます。

米Google社でも、2015年の自社情報サイトに公開した「チームを成功に導く5つの鍵」のうちの最初のひとつとして『心理的安全性(Psychological safety)』を掲げています。
https://rework.withgoogle.com/blog/five-keys-to-a-successful-google-team/

新しいチャレンジ、やり方を試みる上において、不安や恐怖を感じることは自然なことです。
そんな中でも、生徒さんがより自由な状態で”新しいやり方”に挑めるよう、可能な限り「安心安全な場」を整えることは、アレクサンダー・テクニーク教師の大切な役割のひとつでもあります。


 

変化するのだという決意

心理的安全性に加え、もうひとつ重要だと思うのは、「自分はその新しいやり方を選ぶのだ」という“決意”です。

その新しいやり方によって、変化することを決断する。

大げさなようですが、「どうせ上手くいかない」「自分にはできない」「また失敗する」「変わるのが怖い」……このような潜在的な思いを抱えたまま、何かにチャレンジしようとしていないでしょうか。

これは、やりたいことや達成したいという目的に至るまでに必要な、具体的で繊細な動きを妨げることに直結します。

私の恩師であるアレクサンダー・テクニーク教師キャシー・マデン先生は、その著書の中でこう述べられています。

“自分自身の変化を開始するには、新しい意識的に構築されたプランとともに、パターンを変更したいという望みと決断力の両方が必要です。”

レッスンのなかで、教師は安心安全な場の醸成とともに、目的達成への建設的なプランの提案と、それを生徒さん自らが選ぶことへの決断を様々な形でサポートします。(あくまでもサポートです。)

これらのアプローチが、「レッスンでは上手くできる」ことの所以かもしれません。


 

自分を俯瞰する、問いかける時間。

新しいことに、失敗はつきものです。
そして、私たちは失敗から多くを学ぶものです。

ビル・ゲイツはこう言っています。

“成功を祝うのは良いが、もっと大切なのは失敗から学ぶことだ”

……でも!とは言え!失敗するのは嫌なのです(笑)。これも大切な、真実の感情です。分かっちゃいるけど、やめられないのです(笑)。
……でも、それをも抱えて行く。

何かにチャレンジしようとする時に必要なのは、まず私たちの中に安心安全を確保し、やろうとする動きのプロセスを改めて明確にし、それに対する失敗の可能性を受け入れて、なおかつそれをすることを決断し続ける。望む変化のために。

言語化すると非常にめんどくさいですが(笑)、この繰り返しが、変化への大切な意識的練習になると思っています。

動きと、思考と、感情。
自分自身を俯瞰し、自分自身に問いかける時間。


どんな小さなことでも、何か新しいことにチャレンジするときは、「ただやる」のでなくこんな時間を繰り返し持つことも必要だなと思うのです。

 

 

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