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「曲の中に長い休符がありましてね……ピアノの場合、普段はあまりそんなことがないので、何だか居心地が悪いというか。待ってる間にどんどん緊張してきたりするんですよね。」

先日、とあるコンクールを目前に控えたピアニストさんがレッスンにいらっしゃいました。

コンクールではコンチェルトを弾かれるそうで、自分が弾き始めるまでの前奏を始め、間奏にもかなり長い部分があるそうです。

そんな長い休符をどう過ごすか。

それについて考察し、実験することで、演奏に大きな変化が生まれました。

 

無意識の壁

今回は、バックはオーケストラでなくピアノ、つまり2台ピアノでの本番だそうです。

その光景をイメージしつつ、まずは弾いていただきました。

「……何だか、自分の左右両側に見えない壁を作っているような気がするんですよね。特に左の共演者側に。なるべく見ないようにしてる(笑)。右側(観客側)については、だいぶ意識が向けられるようになったと思いますが。」

「見えない壁、ですか(笑)。もう意図的にその”見えない壁”を作っちゃうのもアリだと思いますけど、どうでしょうね?」

“無意識でやっていること”と、“意識的意図的にやること”は、やっていることは同じであったとしてもその質は異なるものです。

例えば非常に些細な例ですが、
「ペットボトルを持ち上げる」という動作を無意識にやった時と、
「右手が指先からペットボトルの方へ動き、手をその形に沿わせて持ち、肘を曲げて持ち上げる」という意識的な動作は、やっていることは同じですが何となく感覚が異なるものではないでしょうか。(ちょっとマニアックですね……)


「なるほど。……でもやっぱり合わせたいですし、共演者のほうまでもっと意識を広げたらどうなるかやってみたいんですよね。でもなかなか見られない(笑)。影響されたくない、とも言えるでしょうか。」

そこで、私はこんな提案をしてみました。

 

ドローン作戦

「実際に目と頭を動かして”見る”必要はないので、まずは意識を広げてみましょうか。でもまずは後ろから攻めます(笑)。」

「後ろ。舞台袖のほうですか。」

「そうです。まずはお客様の方(右側)には意識を広げることができるようなので、そこからその意識をぐるっと後ろにも広げて、そのまま左側の共演者にも広げていきましょう。ただ回る、というより放射状に広がる感じで。」

名付けて“ドローン作戦”
自分の位置からカメラ付きドローンを飛ばして、ぐるりと会場を一周させるようなプランです。

「それは面白い。やってみます。」


生徒さんの全身が緩やかに動きながら、結果的に共演者の方に視線が向き、出だしの音色がガラリと変わりました。

「あぁ、見れましたね。これなら動きやすいです。」

 

プランを持つことの大切さ


「無意識に壁を作り、その中で演奏するのを待つ」のでなく、「観客と共演者、会場を包括する意識を持って演奏するのを待つ」

このように、本番において前奏や間奏の間をどう過ごすかとか、舞台までどう歩くかとか、どうお辞儀をするかなどについて”プラン”を持っておくのは、とても大切なことだと考えています。


それは、最初の一音目から出したい音を出すため、やりたい音楽をやるために「動きやすい自分」「動ける自分」でいるための重要な戦略です。

そしてそれは、無限に作り出すことができるでしょう。

『今日はどのプランで行こうかな』

そんな風に考え始めた瞬間、私たちは”ただ練習どおりの演奏”を目指す自分でなく、“今この場で創造していく”という自分へとドライブしていくことができるのではないかと思っています。


レッスンではそんな”本番をどう過ごすか”についても、臨場感を持って実験することができます。

ぜひリクエストしてみてくださいね。

 

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