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ー「どんなことがあっても、本番は気持ちを切り替えて行かなきゃ。」

本番前になんらかのアクシデントがあった時、こんな風に考えて本番に臨むことが多いと思います。

…それでもうまく切り替えられない時。

他にどんな方法があるでしょうか。

これはアレクサンダー・テクニーク教師であり演出家でもある、キャシー・マデン先生とのレッスンでの一コマです。

 

「切り替えなければ」の違和感。

 

キャシーとのレッスンの前日は室内楽の本番があったのですが、さらにその前日の夜遅く、私は軽い自動車事故を起こしてしまいました。。。

事故自体は本当に軽微なものだったのですが、その衝撃や自己嫌悪、動揺をなんとなーく引きずったまま本番を迎えることになってしまいました。

本番の緊張も重なり、複雑な精神状態での演奏はなんとも言えないものでした…。

いつものように「頭が動けて、体全部をそれについて行かせながら」演奏し続けていると、ふと自分の中にこんな考えがあることに気付きました。

「私は今パフォーマーなのだから、何事も忘れて、ちゃんと切り替えて完璧なパフォーマーとしてここにいなければならない」

…そんなことに気付きながらも、なんとか大過無く本番を終えることはできたのですが、もう少し建設的な対処の仕方はなかったかと相談してみました。

キャシーは、そんな状態から演奏へ向かうための”ウォームアップ”を教えてくれました。

 

3つのステップ。

 

1. まず、事故という経験を押しのけるのではなく、その起きた経験をケアすること。昨日起きたことは、そこにすごく「ある」ことなのだから。

→「私は昨日事故を経験したパフォーマーです…でもここに来ました。なぜなら、演奏することをとても大事に思っているパフォーマーだから。」

 

2. そして、「全感覚スイープ」をする。

…今どんな感じ?どんな気持ち?それは怒り?悲しみ?責任感? →それらをまず「認める」こと。

…そして、いろんな物を触ってみる。動かしてみる。嗅いでみる。温度は?空気の流れは? →そうすると感覚が起こる。結果、「今この瞬間」と繋がる。

 

3. そして「自分は○○が好き」と好きなもの、好きなことを「実際に声に出して」言う。

→実際に声に出すことで、概念の中だけでなく概念を超えて自分を建設的なほうへ向かわせることができる。

 

今、ここから本番に向かうために。

 

やっていることは全て事実に基づいていることで、嘘やごまかしなど何も無くてただとてもシンプルでリアルなこと。

これを実際にやってみると、本当に驚くくらいに自分の身体と心、自分全体を自然な状態で演奏へ向かわせることができました。

…そもそも、気持ちを「切り替える」という必要があるのでしょうか。

パフォーマーも日常を生きています。本番前にいろんなアクシデントに見舞われることもあるでしょう。

そして本番も、そんな日常の延長線上にあるもの。

自分自身をより等身大で、より自由なパフォーマンスへ導くため、こんなウォームアップ方法をいつもポケットに忍ばせておけたら。

ぜひ、試してみてください。

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