サックス・楽器演奏のこと

頭と脊椎の優しい関係。その2

頭と脊椎が出会うところ。

 

「頭の動きが身体全体の動きに影響する。」
ということについて、あと少し。

そもそも頭(=頭蓋骨)って、脊椎とどう接しているのでしょうか?

脊椎の1番上の骨は、「環椎」と呼ばれています。その名のとおり、輪っか状になっています。そしてその上部には、ゆりかごのような凹みがあります。↓

「環椎を上から見たところ」

 

そして頭蓋骨の下の部分には、その凹みに相対するように凸部があります。(真ん中の穴は大後頭孔といって、脳と繋がる脊髄が通っています。)↓

「頭蓋骨を下から見たところ」

「頭蓋骨を後ろ斜め下から見たところ」

 

私はこれを初めて知ったとき、不思議と首が楽になり、頭が軽く感じました。
それまでは、ちょうどサックスのネックと本体がガッチリとはまっているように、頭と脊椎もガッチリとはまっていると思っていたので(笑)。

こんなふうに脊椎の1番上、環椎のゆりかごの上に頭は絶妙なバランスをとって乗っているんですね。
この部分を「トップジョイント」(または「AOジョイント」「環椎後頭関節」)と呼んでいます。

そしてこのトップジョイント周辺には、たくさんの靭帯や小さな筋肉たちが集まっていて、それらがこの4~5kgある頭を身体の一番上で自由に動けるようにしなやかに支えてくれています。

特にその中で「後頭下筋群」は他の筋肉よりも数多くの”センサー”(筋紡錘=筋の長さや張力などの変化を感知する受容器)を持ち合わせており、常に様々なシステムと連携して全身の姿勢バランスを微細にコントロールするために重要な役割を持っていると言われています。(これらのバランス調整機能をアレクサンダー・テクニークでは「プライマリー・コントロール」と呼んでいます。)

「頸部の深筋群」↓

 

なぜ「固まる」のか?〜本能的な反応との関係〜

さて、これらの筋肉をはじめとするたくさんの「頭と胴体をつなぐ筋肉」たちは、私たちの姿勢バランスを調整するため、はたまた私たちの生命を守るため、とても繊細に高度に働いてくれます。

例えば分かりやすい例の一つとして、突然大きな音がしたりして「びっくり」した時、私たちの頭と首付近にはどんなことが起こるでしょうか…?

これらの筋肉は脳から「危険だ!」という信号が送られると瞬時にそれをキャッチし、脳(特に脳幹など)を守るために一斉にギュッと収縮します。

これは「驚愕反射」と呼ばれる、生命を守る本能的な反応の一つの例ですが、このような働きは実に高機能高精細なため、前述したように「楽器を演奏する」「大勢の人の前に立つ」など「実際には自分の生命をおびやかさないこと(…しかし自分にとってはとても大切なこと)」という私たちの心理的な動きにもしっかりと反応します。

これが、私たちが頻繁に頭を「固定」または脊椎に向かって「押し下げる」メカニズムです。

しかしこのような状態では、前述した後頭下筋群を始めとした全身のバランス調整機能がうまく働かなくなってしまいます。

アレクサンダー・テクニークでは、やりたいことをやりたいようにやるために、まずこの習慣的に起こる頭から脊椎への「押し下げ」をやめ、まずは「頭が動いて、身体全体がそれについていく」ことでそれらを実行していくことについてレッスンをしていきます。

 

人間が持つ、一番最初の関節。その位置。

さて、このトップジョイント。正確にはどこにあるのでしょうか?

耳たぶのウラに指を沿わせて少し上に動かすと、コツッとした骨の出っ張りを感じると思います。その左右の出っ張りを結んだちょうど真ん中、そして舌でノドの奥に触れた時に感じる柔らかい部分のもう少し奥に、トップジョイントはあります。

ここが、頭と脊椎が出会う場所です。↓

※写真は、関節が見やすいようにやや下から撮影しています。

けっこう上のほうにありますね。

私たちの頭はこんなに上にあって、そして脊椎は既にそこから始まっているのです。(下アゴのあたりでは、既に脊椎がスタートしています。)
脊椎はそこから何度かカーブを描きながら、下へ伸びていきます。
そしてその長さは、ちょうど椅子に座った場合、座面のすぐ上のところまであります。

「頭が脊椎の上で自由に繊細に動いて、脊椎はカーブを描きながら長く伸びていて、頭の動きについていく。」

ぜひそんなふうに思いながら、一度お好きなフレーズや気になるフレーズを吹いてみてください。

…いかがでしたか?

 

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