教えること

跳躍。そして新しい関係性。

アレクサンダー・テクニークのレッスンは、

「先生が生徒に教える。生徒は先生に教わる。」

という、いわゆる”レッスン”とはかなりスタイルが異なります。

 

先日も、レッスンを見学にいらした方から

「…何だかびっくりしました。すっかり”教わろう”という気持ちで来たので。

ここでのレッスンは、自分が何を知りたいか、何を学びたいかについて、

まずとても能動的である必要があるんですねー。」

という感想をいただきました。

 

どんなレッスンが行われているか。

そのほんの少しを感じ取っていただければと思います。

 

 

複雑な動きを紐解く。

東京の音大を出て、今はフリーで活動している元お弟子ちゃんがレッスンに来てくれた。

実はもっと以前からレッスンの依頼を受けていたのだけど、その時は

「もう私があなたに教えられることなんてないよー」と逃げていたのだった(笑)。

…今なら、少しお手伝いできるかもしれないなと思い、お受けすることに。

楽器はソプラノサックス。

中~高音域間の跳躍が思うようにいかないのだという。

響きをより保ったままどう移行するか、ということ。

吹いているところを見せてもらいつつ、ディスカッションしてみる。

“高音が出るための条件とは?”
“それに関して積極的に関与してくれるのは身体のどこ?”

思考は動きとなり、動きは音に密接する。

楽器を演奏しているときの身体の動きや状態は、実に複雑さを極めるのだけど、

それだけに自分が何をしようとしているのかをぼやかしてしまい、拮抗状態に陥りやすいもの。

絡まっていた思考をまずひとつずつほどいて、シンプルに考えてみる。

 

”サポーター”という存在。

アンブシュアがやっていた仕事をもう少し呼気筋と舌の動きに担ってもらうことを提案して、

二人で呼気に関与する筋肉のマッピングと、

ソプラノサックスの高音域に必要なだけの高圧力の空気をリードの手前で生み出す舌の動きを確認して。

そしてまず楽器を持っている自分自身が、楽器と共鳴するためにどう立ち、楽器とどういう関わりを持つか。

「あーでもない」「こーでもない」「これイイね」
「この動きは、腕も使えるね」

…レッスンというより、実験室という感じ。

そこには、もうかつての「先生と生徒」の関係性は無く、

ただ私は、彼女のやりたいこと、達成したいことに寄り添っていく”鏡”であり”サポーター”であるだけだった。
(あくまでも自分の主観を持ちながら、だけど。人間だし。)

「自分が何をしていったらいいか、いろいろ見えてきた気がしますー!」

高校生のときと変わらない笑顔に何だかホッとしつつ。

プロとして高い欲求を持ち、自分のポリシーを大切にしている姿がたくましく見えた。

こんなふうにまた、かつての生徒さんと新しい関係性を持つことができて、嬉しく思ったのでした。

人はお互い、変容していくのだなぁ。。

 

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