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「指が回らなくて・・・」

このお悩みについては多く寄せられるものですが、その原因は多岐に渡ります。

今回は、演奏する上で「常識」とされるある考えが、指の動きを妨げる原因となっていました。

あくまでも一つのケ−スとしてお読みいただければ幸いです。

 

「指が回らない」を分類する。

それはクラリネット奏者の方とのレッスンでした。

「あるフレーズになると、指が止まってしまうことが多くなって・・・」とのことでした。

楽譜を拝見すると・・・それはそれは複雑なパッセージなのでした。

しかもテンポ設定も、ものすごく速い。一瞬でも躊躇があったら、きっと指は止まってしまうだろうと予想されるフレーズでした。

「指が回らない」というのは、木管楽器や鍵盤楽器では大変多いお悩みですが、ここで奏者に何が起きているかをまず観察し、原因を分類して見極めることが非常に大切なことだと考えています。

・ソルフェージュや読譜の問題か
・指および呼吸など、身体の使い方の問題か
・心理的に何かが起きているか
・・・

大きく分けると、概ねこのような感じでしょうか。

これらはもちろん絡み合っているため、一つに限定することは不可能ですが、落ち着いて丁寧に分析していきます。

 

奏者の頭の中。

この方の場合、そのフレーズを吹くときにわずかに体の軸が後ろに動き、そのため肩甲骨周りが動きにくい状態になっていました。

アレクサンダー・テクニークを意識的に使い、軸の動きと肩甲骨周りの動きを取り戻すことで、指の動きは少し改善に向かいました。

・・・しかし、あと少し、何らかの改善の余地があるような気がしました。

指が回りにくいところでよく試していただくことがあるのですが、それは

一度楽器を置いて、「演奏したいテンポで、”頭の中で歌いながら”、”頭の中でリアルに指を動かす”こと」です。

こうしているところを観察してみると、私も、また奏者ご本人も、何らかの発見をすることに繋がることがよくあります。

今回も少し試していただきました。

「頭の中では歌えているし、指もまぁまぁクリアに動かせてると思うんですけど・・・何だか気が散る、というか。なんて言ったらいいかな・・・。」

“気が散る”という言葉と、この方の目の動きに、少しヒントがあるような気がしました。

 

常識のアップデート。

「楽譜の先を読む、って言いますよね、普通。」

「ええ、そうしてますね。吹いてるところは見てないかも。」

「ちょっと“いま吹いているところを見る”ていう作戦、試してみません? 先でも後でもなく、”いま”。たとえ指が少しもつれても、振り返らず“いま”を見る作戦。

「・・・やってみます。」

ちょっと慣れないようでしたが、二度三度と繰り返すうちに止まらずに吹けるようになりました。

楽譜の先を読む。

音楽は時間の芸術であり、奏者の頭の中ではいま演奏されているものの少し先の風景がすでに展開しているものです。

しかしこの場合は、奏者に要求されるタスクが非常に複雑で高度であるため、少し情報をスマートにする必要があったようです。

もっと早く先を見なきゃ、とばかり思ってたかもしれません。意外だなぁ・・・。あと、指がもつれ始めると先を読みながらその吹き終わった後のところも見ようとしてたかもしれません。」

大きな解決のきっかけになったようで、何よりでした。

時々こんな風に「常識」とされることを一旦手のひらに乗せて検証してみるのも、役に立つのかもしれません。

私としても、収穫の多いレッスンでした。

 

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