腕に力が入ってしまうクラリネット奏者とのレッスン〜ソロへのエネルギー〜
「楽譜に”ソロ”という文字を見つけると、途端に肩とか腕に力が入ってしまって。吹き終わった後に指を見ると、キィの跡がくっきりついてるんですよね(笑)。力を抜こう抜こうと思うんですけど、なかなか難しくて。ソロだから少し”立つ”音を、って思うんですけど、高音は細くなるし、ますます飛ばなくなる感じで……。」
主に吹奏楽などで演奏活動をしているクラリネット奏者とのレッスンから。
演奏時に肩または腕に力が入ってしまうことは、初心者から上級者までよくあるお悩みのひとつです。
抜こうと思っても、なかなか抜けない。
今回はそんな肩や腕の力みに対する、ひとつの考察です。
腕や肩に力が入る理由
演奏される様子を拝見して、ある動きに改善の可能性を感じました。
それは「座り方」です。
肩や腕と、座り方。
一見関係が無さそうに思えますが、身体は全て繋がっています。
つい何か問題が起こっているところにばかり着目してしまいますが、思わぬところにヒントが隠されていることも多いのです。
さて、ソロを吹くため……つまりはより響かせたり、より繊細な表情の変化を生むためには、ある種のパワーが必要になるものです。
この方は決して姿勢が悪いわけではありませんが、ほんのわずかな動きが、本来ソロのために使いたいパワーを少々使いにくくしているために、腕がそれに替わってパワーを発揮しようとしているように見えました。
ソロのためのパワーを生む場所
座る、といってもいろんな座り方がありますが、演奏するときにはなるべく自由に動きたいものです。
そのために、股関節と座骨の関係を知っておくと何かと便利です。
座った状態で片方のお尻の下に手を敷くと、骨の感触が手に当たると思います。それが「座骨」で、骨盤の下の部分にあたります。
その少し上、そして前方方向に脚と骨盤を繋ぐ股関節があります。
この股関節の部分で動くことで、骨盤を含んだ上半身をダイナミックに前後左右に動かすことができます。
そして息を吐くために働く筋肉のひとつが、この座骨と股関節の近くに存在します。
ちょうど横隔膜と向き合うような筋肉「骨盤底筋群」です。あまり感覚はありませんが、息をコントロールするために大活躍してくれます。
(画像:Visible Body)
そんな説明をしながら股関節の動きをいろいろと試していただき、その後もう一度演奏していただきました。
「……なんだか、吹いてないみたいです。楽器が軽い。思ったところで音が出ます。」
うまく身体の適材適所がはたらき、役割分担ができたようです。
腕は働き者
手や腕は大変器用で自由度も高い部分です。(肩も腕の一部です)
なので、何だかとっても働き者のようです(笑)。
私たちのやりたいことを叶えようと、いつも働いてくれます。
事実、演奏においては(もちろん楽器にもよりますが)、腕や手、指の仕事は大変多いですが、自分の演奏する楽器において手や腕の役割とはどんなものがあるでしょうか。
腕が力んでいることを感じたら、
「今、自分のやりたいことにとってどんなパワーが必要か。そしてそのためにどう動けるかな。」
ぜひ一度自分の全身を観察しつつ、そんなことを思い出してみてください。
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