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「演奏中、”ここは絶対間違えちゃいけない!!”…とか思えば思うほど視野がどんどん狭くなるんですよね。それでも気合と練習の積み重ねがあれば、何とかうまく行く…というか、無理矢理行かせちゃってるんですけど。…でもなんだかそれがホントに辛いというか、空しくなっちゃって。」

あるヴァイオリニストさんとの、レッスンでの会話。

首が折れそうになるほど頷きたくなるのをちょっと我慢しながら(笑)、このことについて考えてみることにしました。

ミスを減らす秘訣。・・・そんなに簡単なことではありませんが、何かの一助になりますように。  

 

「ミスしたくない!」と思った時に起こること。

「分かります…。でもまず”無理矢理うまくいかせる”というのも一つの技術ですよね。培ってきたもの。それ自体は、その時の選択として100%正解だったと思います。」

「はは…そうですよね。ちょっと救われます。」

「でも、『ミスしたくない!間違えたくない!』と思った時、脳では何が起こるか…。」

「そうそう、”ミスすること”をまず考えちゃうんですよね。」

脳は否定形をうまく受け取れないと言われています。

「ミスしてはいけない!」と考えた時、脳はまずミスすることをイメージし、その次に上から×印をつける、というプロセスをたどるのだそうです。

音楽は時間の芸術。上から×印がつけられる頃には、とっくにそのフレーズは終わっているかもしれません。

・・・悩ましいところです。

 

ミスとは何か。

「ミスって、何でしょうね。ミスすると、そもそもどうなっちゃうんでしょう。」

「・・・。完璧ではなくなりますよね。曲がキズ物になるというか。。」

完璧な演奏。

私たち演奏者は、誰もが求めているものだと思います。

それを追い求めて、研究と鍛錬を重ねていくのだと思います。 そしてそれには終わりがないからこそ、大きな価値があるのだと思います。

「・・・うん。でももちろん、「ミスしないこと」がイコール「完璧」なのではありませんよね。では、ミスのないことが完璧であることの条件なのでしょうか?」

私はそう生徒さんに尋ねながら、自分にも問いかけていたと思います。    

 

音楽する意味。演奏する価値。

「ところで、コンサートに行く意味って、何でしょうね?」

「やっぱり臨場感というか、生の音を聞けることですよね。息づかいとか。その時、その場限りのものを共有することですよね。。」

「そうですね。ある決められた時間に多くの人が同じところに集まって、演奏者とともに物語を共有する。同じ時間の流れを分かち合うって、改めてすごいですよね。絶対巻き戻しはできないし、もう二度と同じ体験もできない。」

「本当。・・・そう考えると、『ミスしたくない!』とか思うの、もったいないですね(笑)。」

「『ミスしたくない!』って思いながら出している音を、お客さんは聞いてるわけですよね(笑)。あぁ、申し訳ない(笑)。」

「やだー!本当ですね!」

 

決して「ミスしないこと」を望んでいるのではなく、私たちの音楽の目的は、もっと別のとこにあったんじゃないだろうか?演奏する価値とは、何だろうか?

その本質に迫るため、自分にいつも”問い”を続けることが、結果的に「ミスすること」そのものから私たちを遠ざけてくれるかもしれない。

そしてその”問い”の答えは、時間や経験、習熟とともに変化していくのでしょう。

演奏中「ミスしたくない!」と思った瞬間に、いつもそこに立ち戻る”新しい練習”をする機会が得られる。  

 

・・・そんなお話をしました。

アレクサンダー・テクニークを学んでいると、自分自身を俯瞰して見ることができるようになります。

ピンチの時、突発的な出来事が起こった時にはなかなか難しいものではありますが、様々な刺激に対して、自分自身がどう反応するかを選択できるようになっていきます。

瞬間瞬間に対応していくことが求められる演奏において、大いに役立ってくれるツール。

私自身もっと活用して、深めていきたいと思っています。  

 

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