楽器をストラップにかけるときや持ち運ぶときに心がけたい3つのこと
突然ですが!
楽器って…重いですよね…。
大きさも重さも様々なものがありますが、たとえ小さいものであっても長時間持ち歩いたりしていると、意外と身体に負担がかかったりします。
そしてサックスやファゴット、ギターなどストラップによって支える楽器を演奏される方は、慢性的な首の痛みや肩こり、腰痛に悩まされている方も多いかと思います。
今日はそんな
「楽器ケースを肩にかけたり、背負ったりして持ち運ぶこと」
「楽器をストラップにかけること」
について考えてみたいと思います。
このほんの少しのことで、サックスやファゴットの方は音が変わることもあります。
どうぞお読みください。
首の痛みに悩まされていた過去の私
楽器をストラップにかけることも、楽器ケースを背負うことも、演奏者にとっては「ごく日常」の習慣的な動作の一つですが、さて、
『皆さんはいつもどのようにしてそれを行っていますか?』
…こんな問いかけ、シンプルすぎて困りますよね(笑)。
でも、あえてこんな問いかけから始めてみたいのです。
これは、私自身がアレクサンダー・テクニークのレッスンを受ける中で、何度も問いかけられたものでもあります。
私は中学1年生からサックスを吹き始めて音楽大学に進み、その後長くフリーランス奏者として活動してきました。
そのウン十年の中で、自分がどう楽器を組み立てて、いつ自分がそれをどのようにストラップにかけたかなんてもう無意識の宇宙の彼方すぎて、自分自身がどうやってるかを観察することが本当に難しく感じたことを思い出します。
私は長い演奏者生活の中で、首の不調を抱えていました。
サックスは首にかけた専用のストラップに楽器を固定するのですが、基本的に自分の右側に重心が来るので左側の首筋がいつも痛く、右側に大きく首をかしげることがほとんどできませんでした。
また、体の前側に楽器が来るため首が前方に引っ張られ、いつもアゴが前に出ているような状態。まさに無意識的な長い習慣が生んだ痛みでした。
大きな本番前など、練習時間が長くなると痛みがひどくなり、整体に通ったり、高級な枕を買ってみたり…。
でもどれも対症療法に過ぎず、半ば職業病だと諦めていました。
しかしアレクサンダー・テクニークを学んでいく中で、自分の体の構造を理解し、動きを繊細に観察することを繰り返していくうちに、その慢性的な痛みはいつしか全く起こらなくなりました。
“持つ””かける”…まずはその前に。
さて、さっそく心がけたいことのひとつ目。
まずは楽器をかける前、背負う前に
「自分の頭の場所と、背骨の長さを思い出す。」
…ということをしてみていただきたいと思います。
頭は、耳より上、鼻より上の部分です。
ちょうど耳の穴の高さあたりで、脊椎の上にふんわりとバランスよく乗っています。
(アゴは頭ではなく、耳の穴の前に関節を持つひとつのパーツです。)
そして背骨は耳の穴の高さあたりからスタートし、ちょうどお尻のあたりまでカーブを描きながら伸びています。
…ただそれだけ思い出してください。簡単ですね。
「腕は前側にある。」
さて、続いて心がけたいことふたつ目。
ここで楽器そのもの、あるいは楽器のケースを持ち上げることになると思いますが、その前に確認したいことがあります。
腕と胴体の付け根、腕の始まりとは、どこでしょうか?
…ここで肩口あたりをイメージされた方が多いと思います。
実は腕の付け根は身体の前側、鎖骨と胸骨(肋骨の中心にある平たい骨)との関節の部分になります。
腕は身体の前側に関節を持つのですね。
「腕は身体の前側にある。」
これも、ただ思い出すだけです。思い出しながら、どうぞ楽器を持ち上げてください。
重さを支えるのは。
さて、いよいよ心がけたいこと3つ目です。
私たちの身体を支えているのは、主に身体の深部、背骨の周りにある筋肉です。
これらの筋肉は疲れにくく、1日中私たちの体を重力に反して起こしておいてくれます。
楽器をストラップにかける時、あるいは肩にかける・背負う時。私たちは楽器の分、体重が増えることになります。
その楽器の重さの分を、その深部の筋肉、背骨の周りにある筋肉に支えてもらいたいのです。
「楽器の重さの分を、長い背骨全体で支える。」
これが心がけたいことの3つ目。これも、ただ思うだけです。そう思いながら、どうぞ楽器をストラップにかけたり、背負ったりしてみてください。
さて、いかがでしたでしょうか・・・。
負担がかかることそのものからは完全に離れることはできませんが、自分の身体の構造と機能を知ることは、より長く深く楽器と音楽と関わっていくためにとても大切なことだと思います。
ぜひ一度、レッスンにいらしてくださいね。
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