楽器に寄り添う、手。
正しい指の使い方?
レッスンの中でよくある質問。
「サックスのキィって、どうやって押さえるのが正しいんですか?」
手の大きさや指の長さなどは人それぞれですし、人間の手はとても多様に複雑に動くことができるものです。
ある一つのやり方を取り上げて「これが正しい!」というのは、多分、ありえません。
しかし今日は楽器のデザインと、そして私たちの手のデザインから改めて「キィを押す」ことについて少し考えてみたいと思います。
手の機能。そのしなやかさ。
サックスの主要なキィには、白蝶貝という貝殻が貼ってありますね。それをそっと指先で撫でてみると軽く凹んでいるのが分かると思います。(凹んでいないキィもありますし、凹み方はメーカーによってもいろいろですが。)
一度楽器から手を離して、指先からゆーっくりと手を動かして楽器に触れていってみてください。
指先→手→手首→前腕→上腕→鎖骨&肩甲骨という感じに、ゆっくりと順番に動かしてみてください。
そしてあらためて、指先から貝殻に触れてみてください。。
…きっといつもとは、触れた感覚やフィット感が違っていると思います。
そしてそのままゆっくりと、指先から最小限の力でキィを押してみてください。
…いかがでしょうか?
良いか悪いかはさておき、いつもとは指の動きに少々変化があるかと思います。
もともと私たち人間の手は、モノの形に沿うことができるという特徴を持っています。
そうすることで、いろいろなモノを持ったり、いろいろな道具を使いこなすことができるのです。
さて、サックスはとても運動性に優れた楽器です。
レパートリーも、そんなサックスのしなやかで華やかな運動性を活かしたものが多く、私たちはついそれを仕上げよう(「やっつけよう」という感じもあるでしょうか)、そして維持しなければという練習に没頭しがちですが、時にはこんな時間を持ってみるのもいかがでしょうか。
楽器を何となく眺めるたびに、このキィの作り、貝殻の大きさや形の絶妙さにいつも感心させられます。(余談ですが、iPhoneのホームボタンも似てますよね笑)
楽器を開発し、製作される方々の、この楽器に対する情熱と愛情が伝わってきます。
自分自身の身体のデザインと、楽器のデザインをリンクさせる。
そんな気持ちで楽器に触れることで、また新しく生まれてくる音があるかもしれません。
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