触れる、ということ。
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「レッスンをとおして生徒さんが何を受け取ったか、私たちには量り知ることなどできないのよ。」
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先日、ボストンから来日しているデビ・アダムス先生のワークショップを受ける機会に恵まれました。
デビさんはアレクサンダー・テクニーク教師であり、ピアニストでもあります。
ずっとレッスンを受けたいと思っていた先生だったので、期待に胸をパンパンに膨らませまくりながら会場へ向かったのですが……
結果、受け取った全てを持ち帰るには私自身のスペックが足らず(笑)、パンパンになった頭の中のメモリが耳穴あたりからこぼれ落ちそうになるのを必死でおさえつつの帰宅となりました。
触れるとは何か。
その日のテーマは「触れることを使って教える」。
触れる”質”やその”深さ”、
いつ・なぜ触れるのか、
どこに手を置くのか、または置かないのか、
そもそも我々は、生徒さんの何に触れているのか……。
教師が生徒さんの身体に触れること(タッチとか、ハンズオンとか呼ばれます)は、アレクサンダー・テクニークのレッスンの大きな特徴のひとつです。
(そのあたりの様子が「怪しい」「宗教ぽい」と言われる所以でしょうかね……とほほ。。)
触れること、というのは実に様々な意味があるのですが、基本的にはそれによって
「生徒さんが自分自身についてより気付くこと、その感覚をより目覚めさせること」
のサポートをしています。
あくまでもサポートです。
この”触れること”については、教師になる過程で少しずつトレーニングを積んでいくのですが……まぁ、なかなかに奥深いものです。
誰もが悶絶します(笑)
私は教師になった今でも悶絶しています(笑) ←もはや趣味です(笑)
ただ、触れる。
このことには、自分自身の持つ様々な課題がグワッと音を立てて集約されるものでして。
自分の毛穴までフォーカスして見てる感じでしょうかね。
これ以上書くとますます胡散臭いので(笑)、またの機会に。
(ご興味ある方はぜひSelf Quest Labラボクラスへどうぞ!!)
触れる態度。
さて、ワークショップの中では「触れること」に関していろんな実験や問いかけが行なわれたのですが、その中のひとつとして
「他人の荷物を持ってみる」
というものがありました。
例えば自分の荷物(……楽器ケースや大切なものが入ったものと仮定します)を持つ時の態度と、他人のそれを持つ時の態度には、かなりの違いがあると思います。
自分の楽器ケースを持つ場合は、楽器がケースにどのように収納されていて、付属品がどこにどのように入っていて……ということを把握しているものですし、何より自分のものなので、かなり無意識かつ無防備になっていると思います。
一方で他人の楽器ケースを持つ、とイメージすると……持ち上げる時も運ぶ時も、そして置く時もかなり丁寧に慎重になると思います。(あるいは「持たない」という選択になるかもしれません。)
教師として生徒さんに触れるときは、こんなふうに一人一人、毎回毎回、毎瞬毎瞬「尊重」の気持ちを持ち、丁寧に、そして徐々に深く触れていくということが大事よね……とのお話でした。ふーむ。
直接関係ないですが、自分の楽器を演奏する時も「他人が大事にしている楽器」と思って演奏してみると面白い変化があるのではないかと思います。ぜひお試しを。。
教師としての、自分の在り方。
さて、今回はアレクサンダー教師向けのワークショップということもあり、デビさんのような経験ある卓越した教師の”教師としての在り方や考え方”の一端を垣間見ることができたのは、私にとってとても大きな収穫となりました。
中でもワークショップの終盤に投げかけられたこの言葉が大変印象に残りました。
「レッスンをとおして生徒さんが何を受け取ったか、私たちには量り知ることなどできないのよ。」
教師としてどんなに長く多くの経験を積んでも、生徒さんはそれぞれひとりひとり異なる大きな可能性を持った深遠な存在であって、私たちはただそれにひたすら耳を傾け、寄り添い、可能なサポートをする。
大切なことをたくさん再確認し、そしてまた新たな学びを得た1日でありました。
それにしてもデビさんという人は、とにかくあたたかく優しく、おそろしく聡明で思慮深く、そしてまた非常にチャーミングな方で。
……人として教師として、私もそうありたい。
そんな出会いでした。
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